いつの間にかなくなっていたが、尾張一宮の駅を出たところに、
「せんいのまち」という看板がありました。
しかし、小さな生地屋さんが裏路地にあることはあるのですが、
私たちがワクワクするような材料を売る店が、
溺れるほどに軒を連ねてウジャウジャある、
そういう場所が一宮にはないし、名古屋でもさほど多くない…。
名古屋の長者町も、以前にマップを依頼されて80軒取材しましたが、
呉服屋さんなども多いので、素材屋集積ではないし…。
東京の日暮里や、韓国の東大門や、NYの34丁目あたりみたいに、
すごいボリュームの素材屋さん集積がある、
あれが「せんいのまち」なんじゃないのか…と常々思っておりました。
事務所を一宮に移転しても、仕事は市外がほとんどでしたが、
数件の繊維会社さんからご依頼を頂いたのがきっかけで、
広大な敷地、広大な倉庫に眠っている正規の在庫や、
事実上デッドストックの存在を目の当たりにすることに。
今回のアール・マテリアル・プロジェクトを、
一宮で、尾西繊維協会ビルで開催することでご縁が各段に広がり、
知らなかった多彩なバリエーションに驚いているところです。
上質だけどグレーや黒ばかり、地味なスーツ生地が主力、と
思いこんでいた地元の繊維会社さんは、
実に多様なタイプの素材を日々生み出していたのです。
大手商社と共にスポーツ用やインナー用の特殊機能のある素材を開発していたり、
ウールだけでなく、フレンチリネンやコットン素材も充実してたり、
若手のオシャレブランドからハイブランドまでに採用されている会社があったり、
ミックスツィードの会社のオリジナルが、まあカラフルで可愛いことと言ったら!
また、会社名が●●毛織…なのにコットンべースの柔らかなニットやカットソー、
●●ニット…なのに、ストールにちょうどいいガーゼや布帛、という
イメージギャップもあったりします。
駅で時々見かける、妙にオシャレで浮いてるビジネスマンたち、
トランクを引いて新幹線の切符を握ったあの方たちは、
こういう会社さんたちを訪ねて来てらしたのですね!
今更ですよ?今更ですけど、表に見えてないだけで、
せんいのまちって言うだけのことはあるのね、と感心しております。
で今週は、写真のニット&カットソーのお得意な宮田毛織工業さんを再訪、
また、新たなご紹介で、とあるヘビーデューティな布を創っている企業へ、
恥ずかしながら行って参ります!!
(最後の、通じるかな……。)